秋の行楽先や家の前で転んだけれど、大きなけがはなかった。
そう聞いて安心したのに、数日たってから親が首や背中のつらさを口にし始めることがあります。
「手首より、なぜか首と背中が凝ってしかたないらしい」
「歩くと足が引っかかると言うけれど、どこも腫れていない」
毎日そばにいるわけではないので、様子を見ていいのか、どこに相談すればいいのか迷うものです。
この記事では、転んで手をついたあとに首や背中、足の運びまで変わってしまう理由を、柔道整復師 江本直樹が解説します。
あわせて、転倒後にまず確かめておきたいことも取り上げます。
親御さんの様子に心当たりのある方は、読み進めてみてください。

院長から
お伝えしたいこと
元力士「鷲の海」として土俵に立っていた頃、私自身も幾度となく怪我と痛みに苦しみました。
だからこそ良くなってほしい。
その思いで、日々施術をしています。
「もう治らない」と諦める前に、ぜひ一度、ご相談ください。
転んだあと、まず確かめておきたいことは?

手首に腫れや強い痛みがあるときは、まず整形外科で骨の状態を確かめていただくことが先決です。
転んで手のひらをついたときは、手首の骨に衝撃が集中します。
骨がもろくなりやすい年代では、軽く転んだだけでも手首の骨が折れていることがあります。
「大きなけがではないから、様子を見るつもりだった」とおっしゃる方がいます。
ただ、手首が腫れている、押すと痛む、指先がしびれる、手首の形がいつもと違う。
こうした様子があれば、痛みが軽く見えても画像で確かめておくと安心です。
骨に問題がないと確かめられたあとも、首や背中のつらさ、歩きにくさが残ることがあります。
けがそのものは落ち着いているのに体の調子が戻らない、という状態も、当院でご相談いただけます。
体全体のバランスから見ていきます。
手をついた衝撃が、なぜ首や背中に残るのか?

当院では、転ぶ瞬間に胸の前側と首元がすくんで固まり、そのまま戻りきらないことが、首や背中の凝りにつながっていると考えています。
転びそうになると、体はとっさに腕を突っ張り、肩をすくめて身を守ろうとします。
手をついた衝撃は手首で止まらず、肘から肩へと伝わり、胸の前側にまで響くことがあります。
驚きが去ったあとも、このすくんだ形が体に残ってしまうケースがあります。
胸の前側が縮んだままだと、肩が前に引かれ、背中は丸まりやすくなります。
丸まった背中を支えるために、首と背中の筋肉が一日中踏ん張り続ける。
これが、転んだあとに首や背中が凝る理由のひとつです。
このとき、凝っている首や背中だけを揉んでも、すぐに元に戻ってしまうことがあります。
痛む場所と、痛みをつくっている場所が別だからです。
当院では痛みだけを追いかけず、体のどこがどう傾いているかに置き換えて原因を考えます。
手をついた側の肩だけが前に出ている。
片側の背中だけが張っている。
転倒のあとには、こうした左右差がよく見られます。
片側にだけ症状が偏るのは、体の歪みと関係していることがあります。
足が引っかかるのは、首や背中とつながっているのか?

つながっていることがあります。
当院では、背中が丸まって重心が前に移ると、足首や足先の動きまで変わり、歩くときにつま先が上がりにくくなると考えています。
頭と肩が前に出た姿勢では、体は前に倒れないよう、膝や足首で踏ん張ってバランスを取ろうとします。
足首がこの踏ん張りに使われていると、一歩ごとにつま先を持ち上げる動きが小さくなりがちです。
平らな床で足先が引っかかるのは、こうした流れの中で起きていることがあります。
転んだときに、手首と一緒に足首もひねっている方がいます。
本人は手の痛みに気を取られて、足首のことは覚えていない、というケースも珍しくありません。
当院では、手首や足首といった手足の先から整えていくことを大切にしています。
体の四隅にあたる手足の先が変わると、背中や首のこわばりにも変化が出やすくなるためです。
試しに、親御さんに椅子に座ってもらい、かかとを床につけたまま、つま先だけを持ち上げてもらってください。
左右で上がり方に差が出る方がいます。
上がりにくい側が、歩くときに引っかかりやすい側と重なることがあります。
ひとつ、気をつけていただきたいことがあります。
転んだときに頭を打っている場合、数週間から数か月たってから、歩きにくさや頭痛、物忘れが出てくることがあります。
頭の中に少しずつ血がたまる病気で、高齢の方に起こりやすいとされています。
頭を打った心当たりがあり、歩き方の変化が日を追って強くなる、言葉や物忘れの様子がいつもと違う、といったときは、早めに脳神経外科で確かめてください。
これは接骨院で対応する状態ではありません。
よくある経過のパターン

ケース1:手首の痛みは引いたのに、首や背中の凝りが続いている方
転倒から数週間たち、手首の痛みは落ち着いたものの、首から背中にかけての重さが抜けないケースです。
このようなケースでは、手をついた側の肩が前に入り、胸の前側が縮んだままになっていることがあります。
当院では、手首から腕の付け根、胸の前側へと、衝撃が伝わった道筋に沿って引っかかりを整えるアプローチをとっています。
首の後ろが軽くなった、振り向きやすくなった、と感じる方がいます。
ケース2:転んでから歩くのがゆっくりになり、つまずきを怖がるようになった方
転倒のあと、足先が引っかかる感じが続き、外へ出る回数が減ってしまうケースです。
このようなケースでは、転んだときに足首もひねっていて、本人がそのことを覚えていないことがあります。
足首の動きが固まったままだと、つま先が上がりにくく、引っかかりやすい歩き方が続きます。
さらに、また転ぶのが怖くて動かない時間が増えると、体はいっそう固まりやすくなります。
足首と足先の向きを整えると、足の裏がしっかり床につく感覚が戻ったと感じる方がいます。
散歩など、外を歩く時間が少しずつ戻っていくケースもあります。
ケース3:手をついた側ではなく、反対側の肩や背中が張る方
右手をついて転んだのに、左の肩や背中のほうがつらい、というケースです。
このようなケースでは、手をついた側の腕に力が入りにくくなっていて、反対側が代わりに体を支え続けていることがあります。
当院では、つらさの出ている側だけでなく、力が入りにくくなっている側も同じように確かめます。
両側の釣り合いが戻ってくると、張っていた側の緊張が和らいだと感じる方がいます。
よくあるご質問

整形外科で「骨に異常はない」と言われました。接骨院に相談してもいいですか?
ご相談いただけます。
骨に異常がないと確かめられたあとも、首や背中のつらさ、歩きにくさが続くことがあります。
当院では、こうした体のバランスの崩れを整える施術を行っています。
整形外科での経過観察と並行して来院される方もいます。
転んで数日たってから首や背中が痛くなるのは、よくあることですか?
珍しいことではありません。
転倒直後は手首の痛みに意識が向いていて、落ち着いてから首や背中の張りを感じ始めた、とおっしゃる方がいます。
ただし、頭を打っていて、日がたつにつれて歩きにくさや物忘れが強くなる場合は、早めに脳神経外科で確かめてください。
親が院まで通うのが難しい場合は、どうすればいいですか?
往診にも対応しています。
対象地域は都筑区と港北区で、それ以外の地域はご相談ください。
料金は初回17,800円、再診16,800円(いずれも税込)です。
まとめ

転んで手をついたあとは、まず整形外科で骨の状態を確かめておくことが先決です。
骨に問題がなくても、手をついた衝撃が胸の前側や首元に残り、首や背中の凝りにつながることがあります。
足の引っかかりも、背中の丸まりや足首の動きとつながっている場合があります。
転倒のあとの姿勢の変化については、こちらのページでも解説しています。
親御さんの転倒後の様子が気になる方は、仲町台・都筑区の健湧接骨院へご相談ください。
【柔道整復師 江本 直樹 監修】



