朝晩の空気が冷たくなり、くしゃみが出やすい季節になりました。
くしゃみをした瞬間、腰や背中にズキンと響いて、しばらく動けなくなる。
「くしゃみが出そうになると、思わず机に手をついて身構えてしまう」
「腰が弱くなったのかと思って腹筋を始めたけれど、響き方は変わらない」
そんな不安を抱えながら、この時期を過ごしている方は少なくありません。
この記事では、くしゃみで腰や背中に痛みが響く理由を、背骨のゆるやかなカーブとの関係から、柔道整復師 江本直樹が解説します。
心当たりのある方は読み進めてみてください。

院長から
お伝えしたいこと
元力士「鷲の海」として土俵に立っていた頃、私自身も幾度となく怪我と痛みに苦しみました。
だからこそ良くなってほしい。
その思いで、日々施術をしています。
「もう治らない」と諦める前に、ぜひ一度、ご相談ください。
なぜくしゃみで腰や背中に痛みが響くのか?

くしゃみで腰や背中が痛むのは、一瞬で高まったお腹の中の圧が背骨にかかり、その力を背骨が逃がしきれないことがあるためです。
くしゃみの直前、人は息を吸い込んで止め、お腹にぐっと力を入れます。
このとき急に高まるのが、お腹の中の圧。
その力は、お腹の後ろにある背骨にもかかります。
背骨は本来、横から見るとゆるやかなS字のカーブを描いています。
このカーブがばねのようにしなり、急にかかった力を背骨全体に散らす仕組みです。
ところが当院では、胸のあたりの背骨のカーブが浅くなり、背中が一枚の板のようにまっすぐ固まっているケースをよく見かけます。
釣り竿が魚の掛かった衝撃を受け流せるのは、竿全体がしなるからです。
硬い棒では、同じ力が手元の一点に集まってしまうでしょう。
背中が板のようになっていると、くしゃみの力を胸の背骨で受け流せず、その下の腰や背中の一部に響きやすくなると当院では考えています。
一方で、くしゃみをしたときに腰だけでなく脚まで痛みやしびれが走る場合は、背骨の中を通る神経が関わっていることがあります。
脚に力が入りにくい、排尿や排便の感覚がいつもと違う、といった変化を伴うときも同様です。
このような場合は、まず整形外科で状態を確かめてもらうことをおすすめいたします。
腰を鍛えれば、くしゃみの痛みは防げるのか?

腰やお腹の筋肉を鍛えるだけでは、くしゃみの響き方が変わらないことがあります。
痛みが出ている場所は腰でも、くしゃみの力を受け流せていない場所は、その上の胸の背骨にあるケースがあるためです。
施術の中で、「腰が痛むのは腹筋が弱いからでしょうか」という質問をいただくことがあります。
くしゃみで腰に響くと、腰まわりの力不足を疑うのは自然なことです。
ただ、胸の背骨が板のように固まったままでは、腰まわりの筋肉を鍛えても、くしゃみの力はやはり腰に集まります。
これまで続けてきた腹筋が無駄だったというわけではありません。
力を受け止める土台が固まったままだと、鍛えた力を生かしきれないのです。
当院では、痛みが出ている場所だけを追いかけず、体のどこが歪んで力の通り道をふさいでいるかを見ていきます。
一箇所を押せば痛みが消えるスイッチのようなものは、体にはないというのが当院の考えです。
胸の背骨、肋骨のまわり、骨盤と、体全体のつり合いを整えていくことで、くしゃみの力を背骨全体で受け流しやすい状態を目指します。
寒くなるとくしゃみの痛みが出やすいのはなぜ?

寒さで体を縮める時間が増え、胸や背中がこわばって背骨がしなりにくくなるためと当院では考えています。
11月に入ると、朝晩の冷え込みに加えて空気の乾燥も進みます。
冷たい空気を吸い込んだときや風邪をひいたときなど、くしゃみが出る回数そのものが増えやすい時期です。
その一方で、寒い日は肩をすくめ、腕を体に寄せて歩くことが増えがちです。
デスクワークの方なら、冷えた部屋で背中を丸めたまま画面に向かう時間も長くなるでしょう。
体を縮めた姿勢が続くと、胸や背中の筋肉がこわばり、胸の背骨が動きにくくなります。
くしゃみが増える季節に、力を受け流す背骨のしなりが落ちる。
この二つが重なることで、11月はくしゃみの響きを感じやすくなるのです。
ここで一つ、胸の背骨が動いているかを確かめてみてください。
椅子に浅く座り、両手を胸の前で軽く組みます。
息を吸いながら、胸の真ん中を斜め上に向けるつもりで、ゆっくり胸を起こしてみましょう。
胸のあたりから体が起きてくる感じがあれば、胸の背骨はしなりを保てています。
腰だけが反る、またはお腹が前に突き出る感じが強い場合は、胸の背骨が固まり、腰が代わりに動いている可能性があります。
痛みが出る場合は、無理に続ける必要はありません。
よくある経過のパターン

ケース1:くしゃみのたびに腰に響き、腹筋を続けても変わらない方
このようなケースでは、腰まわりよりも、胸の背骨と肋骨のまわりがこわばっている状態がよく見られます。
胸の背骨と肋骨まわりの動きを整え、体全体のつり合いを取っていくと、くしゃみの響き方が和らいでいくケースがあります。
腰をかばって身構える回数が減ってきた、とおっしゃる方もいます。
ケース2:腰ではなく、背中の真ん中あたりにくしゃみが響く方
デスクワークで背中を丸めたまま過ごす時間が長い方に、よく見られるパターンです。
胸の背骨の一部だけが固まり、くしゃみの力がそこに集まっていると考えられます。
固まっている場所の前後と骨盤の傾きを整えていくと、背中に響く場所が絞られ、やがて気にならなくなっていくケースもあります。
ケース3:風邪で咳が長引いたあとから、腰が痛み出した方
咳が続く間は、背中を丸めて胸をかばう姿勢になりやすく、その姿勢のまま胸の背骨が固まっていることがあります。
咳が落ち着いても背骨のこわばりが残り、くしゃみや咳のたびに腰へ響くというケースです。
咳そのものが長く続いている場合は、まず内科や呼吸器内科などの医療機関で確認していただいたうえで、背骨の動きを整えていくことをおすすめしています。
よくあるご質問

くしゃみでぎっくり腰になることはありますか?
くしゃみをきっかけに、急に腰が痛んで動きにくくなることはあります。
くしゃみの瞬間は、お腹の中の圧と背骨にかかる力が一気に高まるためです。
動けないほどの痛みが続く場合や、脚にしびれが出ている場合は、まず整形外科で確認してください。
くしゃみで腰が痛いときは、冷やすのと温めるのとどちらがよいですか?
痛めた直後で熱っぽさやズキズキした痛みがあるときは冷やし、こわばりや重さが中心のときは温めるのが一般的です。
どちらか迷う場合は、無理に自己判断せずご相談いただくのが安心です。
腰のベルトやコルセットはしたほうがよいですか?
痛みが強い時期に一時的に使うと、動きやすくなることがあります。
ただ、使う期間や締め具合は体の状態によって変わります。
長く使い続けるかどうかは、状態を見ながらご相談いただければと思います。
まとめ

くしゃみで腰や背中に痛みが響くのは、一瞬で高まった力を、背骨のしなりで受け流せていないことがあるためです。
痛む腰だけでなく、その上の胸の背骨に目を向けることで、響き方が変わっていくケースがあります。
冷え込みで体を縮めやすい11月は、背骨のしなりが落ちやすい時期です。
腰の痛みが長く続いている方に向けて、慢性腰痛のページでも詳しくご紹介しています。
くしゃみのたびに身構えてしまう冬を迎える前に、仲町台・都筑区でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
【柔道整復師 江本 直樹 監修】



