イベント設営の仕事は、多くの人々が楽しむ空間を創り出す、非常にやりがいのあるお仕事です。
しかしその裏側では、重い機材の運搬や長時間の立ち仕事など、身体へ大きな負担がかかっていることも少なくありません。
特に、腰の痛みは多くの方が抱える深刻な悩みではないでしょうか。
この記事では、イベント設営に携わる皆様が、安心して仕事に臨めるよう、専門的な視点から身体の負担とその原因について解説します。
さらに、ご自身でできる簡単なコンディショニング方法や、当日現場でできるセルフケアについてもご紹介します。
この記事が、皆様の健康管理の一助となれば幸いです。

江本直樹 元力士・柔道整復師
出羽海部屋で「鷲の海」として活躍後、自身の深刻な怪我と治療院巡りの経験から「痛みの向こうに希望を創る」を信念に健湧接骨院を開院。
痛みの本当の原因は別の場所にあるという独自の視点で全身のバランスを整え、患者様の不安を安心に変えます。
「もう治らない」とあきらめていませんか?
私も同じ辛さを経験しました。
あなたの「治療院巡りの最後」となれるよう全力でサポートします。
こんなお悩み、ありませんか?

イベント設営の現場では、予測できない様々な状況が起こります。
身体に関するこんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
- 重い機材を運んだ後、腰にズシンとくるような重さを感じる。
- 一日中立ちっぱなしで、夕方になると足腰が固まってしまう。
- 不安定な足場での作業が多く、常に体に力が入って疲れる。
- 天候によって、体の調子や痛みの感じ方が変わる気がする。
- その場しのぎの湿布やマッサージでは、すぐに痛みがぶり返してしまう。
これらの悩みは、決して特別なことではありません。
多くの方が同様の経験をされています。
大切なのは、なぜそのような状態になるのかを理解し、適切に対処していくことです。
荷物運び・長時間立ち作業で腰に出やすい負担ポイント

なぜイベント設営の仕事は、特に腰に負担がかかりやすいのでしょうか?
その主な原因は、「重力に抗う筋肉の持続的な緊張」と「急な負荷への対応」にあります。
人の背骨は、S字状のカーブを描くことで、しなやかに体重を支え、地面からの衝撃を吸収しています。
しかし、重い物を持つ際には、背骨やその周辺の筋肉(脊柱起立筋など)に通常以上の負荷がかかります。
特に、不適切な姿勢で物を持ち上げると、腰椎(腰の骨)の間にある椎間板というクッション組織に過度な圧力がかかり、痛みの原因となる可能性が指摘されています。
また、長時間の立ち仕事は、同じ筋肉を使い続けることになります。
これにより筋肉は過度に緊張し硬くなり、血流が悪化しやすくなります。
その結果、疲労物質が溜まり、重さや痛みとして感じられることがあるのです。
片目の負担(視力差)と姿勢の関係をやさしく整える

「目の疲れが、腰の痛みに関係する」と聞くと、意外に思われるかもしれません。
しかし、身体は全てのパーツが連動しており、目の使い方も例外ではありません。
多くの方には「利き目」があり、無意識のうちに利き目を頼って物を見ています。
左右の視力に差がある場合、よく見える方の目で物を見ようとするため、自然と顔や首が傾く癖がつきやすくなります。
このわずかな傾きが、頸椎(首の骨)のバランスを崩し、その歪みは肩、背骨、そして骨盤へと連鎖的に影響を及ぼす可能性があります。
骨盤は身体の土台であるため、ここに歪みが生じると、歩行や荷物を持つ際のバランスが崩れ、腰への負担が増大することが考えられるのです。
ご自身の姿勢の癖を意識し、時々休憩を挟んで遠くを見るなど、目の緊張を和らげることも大切です。
天候や足場で崩れやすい“体のバランス”を当日までに整える

「雨が降る前は、古傷が痛む」という話を耳にしたことはありませんか?
これは、気圧の変化が自律神経に影響を与え、血行や筋肉の緊張状態に変化をもたらすためと考えられています。
イベント設営は屋外で行われることも多く、天候の変化は身体のコンディションに直接影響を与えやすい環境です。
また、設営現場の足場は必ずしも平坦ではありません。
砂利道や傾斜地など、不安定な場所での作業は、常に体のバランスを取ろうと無意識に筋肉を緊張させます。
この状態が続くと、体幹をはじめとする全身の筋肉が疲労し、ふとした瞬間にバランスを崩しやすくなるだけでなく、特定の筋肉への過剰な負担から痛みを引き起こすことがあります。
日頃から、片足立ちで靴下を履くなど、生活の中で少しだけバランス感覚を意識するだけでも、不安定な場所での対応力は変わってくるでしょう。
会場でできる!当日慌てないための1分コンディショニング

忙しい現場では、まとまった休憩時間を取るのが難しいかもしれません。
ここでは、作業の合間に立ったまま1分でできる簡単なコンディショニングをご紹介します。
1. 足首のストレッチ(各20秒)
壁や機材に手をついて体を支え、片足のかかとをゆっくりと上げ下げします。
ふくらはぎの伸び縮みを感じましょう。
足首やふくらはぎの柔軟性は、全身のバランスと血行に良い影響を与えます。
2. 深呼吸(20秒)
両足を肩幅に開き、鼻からゆっくりと息を吸いながら両腕を大きく横から持ち上げます。
次に、口からゆっくりと息を吐きながら腕を下ろします。
深い呼吸は、緊張した心と身体をリラックスさせる助けとなります。
3. 肩甲骨を動かす(20秒)
両肘を軽く曲げ、肩の高さまで上げます。
そこから、背中側で肩甲骨をぐっと引き寄せるように意識し、5秒ほど保ちます。
その後、力を抜いてリラックス。
これを数回繰り返します。
肩甲骨周りの筋肉を動かすことで、肩や背中のこわばりを和らげる効果が期待できます。
よくある質問(FAQ)

仕事の時に、腰にベルト(コルセット)は着けた方が良いですか?
一般的に、ベルトは腹圧を高めて体幹を安定させ、腰椎への負担を軽減する目的で使用されることがあります。
特に重い物を持ち運ぶ際には補助的な役割が期待できます。
ただし、常に装着していると、ご自身の腹筋や背筋といった体幹の筋肉が働きにくくなる可能性も指摘されています。
使用する場面や時間を限定するなど、ご自身の状態に合わせて適切に活用することが推奨されます。
痛みがある部分は、温めるべきですか?冷やすべきですか?
一般的には、急な痛みや熱を持っているような感覚がある場合(急性期)は冷却を、慢性的なだるさやこわばりがある場合(慢性期)は温めることが推奨される傾向にあります。しかし、これはあくまで一般的な目安であり、状態によって対処法は異なります。
ご自身の判断で対処に迷う場合は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。
まとめ

イベント設営という素晴らしいお仕事を長く健康的に続けていくためには、日々の身体のメンテナンスが非常に重要です。
今回ご紹介したように、腰の痛み一つをとっても、その背景には長時間の立ち仕事、荷物の運搬方法、さらには目の使い方や現場の環境まで、様々な要因が複雑に関係しています。
まずは、ご自身の身体の状態に関心を持ち、今回ご紹介したような簡単なセルフケアを日常生活に取り入れてみてください。
そして、もし症状がなかなか改善しない場合や、ご自身の身体の状態についてより詳しく知りたいと感じた際には、決して一人で悩まず、医療機関や専門家へ相談することも大切な選択肢の一つです。
【柔道整復師 江本 直樹 監修】
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