行楽の秋。
紅葉を見に出かけて、お寺の石段や坂道を上り下りした翌日、太ももの裏側だけがパンパンに張っている。
「少し歩いただけなのに、なぜ太ももの裏ばかり疲れるんだろう」
「猫背を直そうと背筋を伸ばして歩いたら、かえって足が重くなった」
そう感じている方は、脚の筋力が落ちたわけではないかもしれません。
この記事では、太ももの裏が疲れやすくなる原因と、立ち姿勢との関係について、柔道整復師 江本直樹が解説します。
心当たりのある方は読み進めてみてください。

院長から
お伝えしたいこと
元力士「鷲の海」として土俵に立っていた頃、私自身も幾度となく怪我と痛みに苦しみました。
だからこそ良くなってほしい。
その思いで、日々施術をしています。
「もう治らない」と諦める前に、ぜひ一度、ご相談ください。
なぜ歩いたあとに太ももの裏ばかり疲れるのか?

膝がわずかに曲がったまま立ったり歩いたりしていると、太ももの裏に負担がかかり続けることがあります。
本人は真っすぐ立っているつもりでも、横から見ると膝が少しだけ曲がっている。
当院では、この状態を「隠れスクワット」と呼んでいます。
スクワットは、膝を曲げて腰を落とし、太ももの前と裏の筋肉で体を支える運動です。
膝が伸びきらないまま立っていると、深さは浅くても、同じように太ももの筋肉が体を支え続けることになります。
立っている間も歩いている間も、ずっと小さなスクワットを続けているようなものです。
石段や坂道では、膝の曲げ伸ばしが平地より大きくなります。
もともと隠れスクワットの状態で過ごしている方は、そこに行楽の上り下りが加わり、翌日に太ももの裏の張りとして出てくるというケースがあります。
「脚が弱くなったと思っていた」とおっしゃる方もいます。
ただ、太ももの裏が張る場所だからといって、原因まで太ももにあるとは限りません。
当院では痛みや張りの出ている場所だけを追いかけず、体全体の傾きやバランスから原因を考えています。
なぜ背筋を伸ばそうとすると、かえって足が疲れるのか?

胸を張って背筋を伸ばそうとすると、その姿勢を保つために膝や脚で帳尻を合わせてしまうことがあります。
猫背を直そうとして、上半身だけをぐっと起こす。
すると体の重心が後ろへずれやすくなります。
倒れないように、膝を少し曲げたり、つま先を外に開いてガニ股気味に立ったりして、脚でバランスを取り直す方が少なくありません。
上半身はきれいに見えても、そのぶん脚が支える仕事を引き受けている。
「姿勢を気をつけるほど下半身が重くなる」とおっしゃる方には、このような立ち方をしているケースがあります。
試しに、いつものように立ったまま、膝の裏を軽く後ろへ伸ばすつもりで立ち直してみてください。
太ももの裏の張り方が変わると感じる方がいます。
変化がある場合は、ふだん膝がわずかに曲がったまま立っている可能性があります。
背筋を伸ばす努力が足りないのではありません。
上半身だけで姿勢を作ろうとすると、どこかで脚に負担を回すことになりやすい、ということです。
つま先の向きを変えると、なぜ脚が楽になることがあるのか?

つま先の向きが整うと、膝が伸びやすくなり、脚が体を支える負担が軽くなることがあります。
つま先が外を向いたまま立つと、膝も外へ開きやすくなります。
膝が外へ開いた状態では、膝をまっすぐ伸ばしきるのが難しくなり、わずかに曲がった隠れスクワットの姿勢に戻りやすい。
足先の向きと膝の伸びは、別々の問題ではなく一続きになっています。
当院では、手足の先を整えることが全身の変化につながると考えています。
太ももの裏が張っている方でも、太ももそのものより、足先の向きや膝の伸びから見直すことがあります。
つま先と膝の向きがそろってくると、立っているときに脚が踏ん張り続ける必要が減っていきます。
「歩いたあとの脚の重さが前と違う」とおっしゃる方もいます。
変化の出方には個人差がありますが、張っている場所とは違うところから体が変わっていくケースは珍しくありません。
よくある経過のパターン

ケース1:旅行や行楽のあとだけ、太ももの裏が強く張る方
ふだんの生活では気にならないのに、坂道や階段の多い場所へ出かけたあとだけ張りが出るケースがあります。
このような方は、日頃から膝がわずかに曲がったまま立っていて、上り下りで負担が一気に表に出ていることがあります。
膝の伸びと足先の向きを整えていくと、次の遠出のあとの疲れ方が軽くなったと感じる方がいます。
ケース2:姿勢を良くしようと意識するほど、下半身が重くなる方
猫背を気にして胸を張るようにしてから、脚の疲れが増えたというケースがあります。
上半身だけで姿勢を作り、そのぶん膝やつま先の向きでバランスを取り直していることが多いパターンです。
体全体のバランスを整えていくと、無理に胸を張らなくても立ちやすくなり、脚の重さが変わってくる方がいます。
ケース3:太ももの裏を伸ばしたり揉んだりしても、すぐに張りが戻る方
ストレッチや揉むケアで一時的に楽になっても、歩くとまた張ってくるケースがあります。
張っている場所をほぐしても、隠れスクワットの立ち方が続いている限り、同じ負担がかかり続けることがあります。
張りの出ている場所ではなく、立ち方の土台から整えることで、張りが戻りにくくなるといわれることが多いです。
よくあるご質問

歩いたあとに太ももの裏が張るとき、温めるのと冷やすのはどちらがよいですか?
個人差がありますが、疲れによる張りであれば、入浴などで温めると楽に感じる方が多いです。
一方で、熱っぽさや腫れがある、ぶつけたりひねったりした覚えがある場合は、温めずに冷やすほうがよいことがあります。
痛みが強い、日に日に増してくるといった場合は、早めに医療機関や当院にご相談ください。
太ももの裏はストレッチで伸ばしたほうがよいですか?
張りを和らげる助けになることはありますが、ストレッチだけでは張りが戻りやすいケースがあります。
立っているときに膝がわずかに曲がったままだと、伸ばしたあとも同じ負担がかかり続けるためです。
強く長く伸ばしすぎると、かえって体が身構えて固まることもあるため、心地よい範囲にとどめてください。
膝を伸ばして立つように意識すれば、それで変わりますか?
意識することで変化を感じる方もいますが、ずっと意識し続けるのは難しいものです。
つま先の向きや体全体のバランスが崩れたままだと、気を抜いたときに元の立ち方に戻りやすくなります。
当院では、意識しなくても膝が伸びやすい状態を目指して、土台から整えていきます。
太ももの裏の張りは、どのくらいで変わってきますか?
張りが出ている期間や体の状態によって個人差があります。
行楽のあとなど一時的な張りであれば早めに変化が出やすく、長く続いている張りほど時間がかかる傾向があります。
初回の検査で体の状態を確かめたうえで、見通しをお伝えしています。
まとめ

太ももの裏が疲れやすい原因は、脚の弱さではなく、膝がわずかに曲がったまま立つ隠れスクワットの状態にあることがあります。
背筋を伸ばそうと上半身だけで姿勢を作ると、そのぶん脚に負担が回りやすくなります。
つま先の向きと膝の伸びを整えることで、脚が踏ん張り続ける負担が軽くなるケースがあります。
脚の張りや重さが腰や膝の不調とつながっている場合は、こちらのページも参考にしてください。
【柔道整復師 江本 直樹 監修】




