登山を始めてみたものの、思いがけない膝の痛みに悩まされていませんか?
「下山時に膝が痛くなって歩けなくなった」「山行後、数日間膝の痛みが続いた」「階段の上り下りが辛くて日常生活にも支障が出ている」など、登山初心者の方からよく聞かれる悩みです。
せっかくの素晴らしい景色や達成感も、膝の痛みがあっては十分に楽しむことができません。
登山は、日常生活ではあまり使わない筋肉や関節に負荷をかける運動です。
特に膝は、上り下りの度に体重を支え続けるため、想像以上の負担がかかります。
平地を歩く時の約2〜3倍もの負荷がかかると言われており、準備不足の状態で山に向かうと、膝にトラブルが生じやすくなります。
登山による膝の痛みは、一度発症すると長引くことも多く、放置すると慢性化するリスクもあります。
初心者の方ほど膝を痛めやすい傾向にありますが、これは経験不足だけでなく、適切な知識や予防法を知らないことが大きな原因となっています。
しかし、正しい知識と準備、そして適切な体の使い方を身につければ、膝の痛みは大幅に予防することができます。
このブログでは、登山初心者が陥りやすい膝の痛みの原因を理解し、効果的な予防法を詳しくご紹介していきます。
山の魅力を存分に味わうためにも、膝のケアは欠かせません。
ぜひ最後までお読みいただき、次回の登山をより安全に、より快適に楽しむための知識を身につけていただければ幸いです。
膝の痛みに悩まされることなく、美しい山々との出会いを楽しみましょう。

江本直樹 元力士・柔道整復師
出羽海部屋で「鷲の海」として活躍後、自身の深刻な怪我と治療院巡りの経験から「痛みの向こうに希望を創る」を信念に健湧接骨院を開院。
痛みの本当の原因は別の場所にあるという独自の視点で全身のバランスを整え、患者様の不安を安心に変えます。
「もう治らない」とあきらめていませんか?
私も同じ辛さを経験しました。
あなたの「治療院巡りの最後」となれるよう全力でサポートします。
登山初心者が膝を痛めやすい理由とは

登山初心者が膝を痛めやすい理由には、いくつかの要因が組み合わさっています。
これらを理解することで、効果的な予防策を講じることができます。
ここでは、初心者が特に注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。
まず第一に、筋力不足が大きな原因です。
特に太もも前面の大腿四頭筋と、太もも裏のハムストリングスの筋力が不足していると、膝への負担が増大します。
これらの筋肉は膝を安定させる役割を果たしますが、日常生活ではあまり使われないため、十分に発達していないことが多いのです。
登山では、特に下りで膝に体重の2〜4倍もの負荷がかかるため、筋力不足の状態では膝の関節に過度な負担がかかってしまいます。
次に、不適切な装備も大きな要因です。
特にシューズ選びは重要で、クッション性が不十分だったり、サイズが合っていなかったりすると、足から膝へと伝わる衝撃が増大します。
また、荷物の重さも膝への負担に直結します。
初心者は必要以上の装備を持参しがちで、背負う重量が増えるほど膝にかかる負担も大きくなるのです。
歩き方の問題も見逃せません。
正しい歩行技術を知らないまま長時間歩くと、膝への負担が蓄積されていきます。
特に下りでの歩き方は重要で、膝を曲げすぎたり、足を踏み出す位置が不適切だったりすると、膝関節に大きなストレスがかかります。
また、疲労により歩行フォームが崩れることも、膝痛の原因となります。
無理なペース配分も膝を痛める大きな要因です。
初心者は自分の体力を過大評価しがちで、休憩を十分に取らずに長時間歩き続けることがあります。
これにより筋肉が疲労し、本来筋肉が吸収すべき衝撃が直接膝関節にかかるようになります。
特に下山時は疲労が蓄積している状態なので、より注意が必要です。
また、準備運動不足も見逃せません。
多くの初心者は、ウォーミングアップの重要性を軽視しがちです。
冷えた状態の筋肉や関節は柔軟性が低く、急な負荷に適応できないため、膝を痛めるリスクが高まります。
特に朝早い登山や気温の低い時期には、十分なウォーミングアップが必要です。
急斜面や段差に強くなる正しい体の使い方

登山で膝を守るためには、正しい体の使い方を身につけることが不可欠です。
特に初心者が苦手とする急斜面や段差での歩き方を見直すことで、膝への負担を大幅に軽減することができます。
ここでは、具体的なテクニックをご紹介します。
まず、上りの急斜面での歩き方についてです。
上りでは、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を効果的に使うことが重要です。小さな一歩で、つま先で地面を蹴るように進むと、膝への負担が分散されます。
このとき、上半身を少し前傾させることで、重心を安定させます。
急な坂では、ジグザグに進む「トラバース」という技術も有効です。
直線的に登るより角度が緩やかになるため、膝への負担が軽減されます。
一方、下りは膝に最も負担がかかる局面です。
下りでは「ブレーキをかける」ような動きが膝に大きな負担をかけます。
そこで、足を着地させる際に膝を少し曲げた状態をキープし、着地の衝撃を全身で吸収するようにします。また、歩幅を小さくし、かかとから着地するのではなく、足の裏全体でしっかりと地面を捉えるようにしましょう。
特に急な下りでは、横向きに「かにさばき」で下りる方法も効果的です。
この方法では、膝への縦方向の負担が軽減されます。また、トレッキングポールの正しい使い方も膝を守るために重要です。
上りでは、ポールを後方に突いて体を押し上げる力として活用します。下りでは、ポールを体より前に突き、体重を分散させるブレーキとして使います。
これにより、膝にかかる負担を最大で20〜30%軽減できるというデータもあります。
ポールの長さは、上りでは短め、下りでは長めに調節すると効果的です。
段差の多い道では、大きな段差を一気に上り下りするのではなく、可能な限り小さな段差を探して進むことも有効です。
どうしても大きな段差を降りる必要がある場合は、お尻から滑り降りるという選択肢も覚えておくと良いでしょう。
見栄えは良くないかもしれませんが、膝を守るためには有効な手段です。
さらに、全体的な姿勢も重要です。背筋を伸ばし、視線は進行方向の3〜5メートル先を見るようにします。
これにより、バランスが安定し、足の置き場所も確認しやすくなります。
疲れてくると猫背になりがちですが、そうなると重心が後ろに下がり、膝への負担が増大します。
定期的に姿勢を意識する習慣をつけましょう。
登山前後に取り入れたい膝を守るストレッチ法

登山の前後に適切なストレッチを行うことは、膝の痛みを予防する上で非常に重要です。
特に、日常的に運動習慣のない初心者は、このステップを省略しがちですが、わずか10分程度の投資で膝のトラブルを大幅に減らすことができます。
ここでは、登山前後に効果的なストレッチ方法をご紹介します。
【登山前のストレッチ】
まず登山前は、筋肉を温めながら軽くほぐすことを目的とします。
軽いウォーキングや足踏みで体を温めた後、以下のストレッチを行いましょう。
太もも前面(大腿四頭筋)のストレッチは特に重要です。
片足の足首を同じ側の手で持ち、かかとをお尻に近づけるようにします。
このとき、膝が前に出ないよう注意し、背筋を伸ばします。
反対側の足にしっかりと体重をかけ、15〜20秒キープしましょう。左右2回ずつ行います。
次に、太もも裏側(ハムストリングス)のストレッチです。
片足を前に出して座り、前に出した足のつま先を天井方向に向けます。上体を前に倒して太もも裏を伸ばします。
この時、無理に前屈せず、心地よい伸びを感じる程度にとどめます。
こちらも15〜20秒キープし、左右2回ずつ行います。
ふくらはぎのストレッチも忘れずに行いましょう。
壁や木に手をついて立ち、片足を後ろに引きます。
かかとを地面に付けたまま、膝を伸ばした状態でふくらはぎを伸ばします。
山道では特にふくらはぎの負担が大きいため、しっかりとストレッチしておくことが大切です。
【登山後のストレッチ】
登山後は筋肉の疲労回復と柔軟性の維持を目的としたストレッチを行います。
登山で緊張した筋肉をしっかりとほぐすことで、翌日以降の筋肉痛や膝の痛みを軽減できます。
まず、足全体をリラックスさせるため、仰向けになって両膝を抱え込みます。
膝を胸に近づけるようにして、腰から足全体の緊張をほぐします。
30秒程度キープし、呼吸を止めないように注意します。
次に、腸腰筋(股関節の前側)のストレッチを行います。
片膝を床について座り、もう一方の足は前に伸ばします。
上体を起こして背筋を伸ばし、骨盤を前に押し出すようにすると、股関節の前側が伸びていくのを感じます。
登山で使った股関節周りの筋肉をほぐすことで、膝への負担も軽減されます。
最後に、全身の緊張をほぐす「チャイルドポーズ」も効果的です。
四つん這いから、お尻を踵に近づけるように座り、上体を前に倒して床に伸ばします。
腕は頭の上に伸ばすか、体の横に置きます。
この姿勢でゆっくりと深呼吸をすることで、背中や腰、脚全体の緊張がほぐれていきます。
まとめ

登山は素晴らしい自然との触れ合いや達成感を味わえる素晴らしい趣味ですが、適切な知識と準備なしに臨むと、膝の痛みによって楽しさが半減してしまう恐れがあります。
このブログでは、登山初心者が膝を痛めやすい理由から、正しい体の使い方、そして効果的なストレッチ方法までを詳しく解説してきました。
膝の痛みの予防には、総合的なアプローチが重要です。
まず、日頃から膝周りの筋肉、特に太もも前面の大腿四頭筋と太もも裏のハムストリングスを鍛えることで、膝を支える土台を強化しましょう。
スクワットやランジなどの筋力トレーニングを週に2〜3回、少しずつ取り入れることをお勧めします。
また、適切な装備の選択も忘れてはなりません。
クッション性の高い登山靴や、必要最小限の荷物で背負う重量を軽減することも、膝への負担を減らす重要な要素です。
特にトレッキングポールの使用は、膝への負担を大幅に軽減できる有効な手段ですので、初心者の方こそ積極的に活用してください。
登山中の正しい歩き方を身につけることも重要です。
上りでは小さな一歩で効率よく進み、下りでは膝を柔らかく使って衝撃を吸収する歩き方を意識しましょう。
また、ペース配分にも気を配り、適度な休憩を取りながら無理なく進むことが、膝の負担軽減につながります。
登山前後のストレッチも、膝の健康維持に大きく貢献します。
このブログでご紹介したストレッチ方法を習慣化し、筋肉の柔軟性を高めておくことで、膝のトラブルを予防できます。
特に下山後のストレッチは疲労回復を促し、翌日以降の痛みを軽減する効果があるため、疲れていても必ず行うよう心がけましょう。
これらを実践することで、膝の痛みのリスクを大幅に減らし、より安全で快適な登山を楽しむことができるはずです。
しかし、もし登山後に強い膝の痛みを感じたり、痛みが数日間持続したりする場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。
膝の痛みでお悩みの方は、どうかお早めに当院の治療のご予約をお取りください。
適切な診断と治療により、膝の状態を改善し、再び山の魅力を存分に味わえるようサポートいたします。
山には、素晴らしい景色や体験があなたを待っています。
膝の痛みに邪魔されることなく、その素晴らしさを堪能してください。
【柔道整復師 江本 直樹 監修】
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投稿者プロフィール

- 柔道整復師/登録販売者
- 「健湧接骨院」代表の江本直樹です。元・大相撲力士で四股名は「鷲の海」、出羽海部屋で鷲羽山関に師事しました。肩こり・腰痛・股関節痛の改善策やストレッチ法、季節に合わせた健康維持のコツを発信していきます!詳しいプロフィールはこちら⇒自己紹介
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