椅子から立ち上がる瞬間、膝のお皿の下にズキッとした痛みが走る。
正座から立とうとすると、膝の隙間が引っかかるように痛む。
「立ってしまえば歩けるのに、最初の一歩がつらい」
「膝をさすっても、次に立つときにはまた痛む」
膝そのものが悪くなってしまったのではと、不安になる方もいます。
この記事では、立ち上がりで膝のお皿の下が痛む原因を、足首のねじれとの関係から、柔道整復師 江本直樹が解説します。
膝をかばう前に見直してほしい場所があります。
心当たりのある方は読み進めてみてください。

院長から
お伝えしたいこと
元力士「鷲の海」として土俵に立っていた頃、私自身も幾度となく怪我と痛みに苦しみました。
だからこそ良くなってほしい。
その思いで、日々施術をしています。
「もう治らない」と諦める前に、ぜひ一度、ご相談ください。
立ち上がるときに、なぜ膝のお皿の下が痛むのか?

立ち上がりの動作では、膝関節に大きな負担がかかります。
痛みが出やすいのはそのためです。
椅子から立つとき、膝は曲がった状態から、体重を受けながら伸びていきます。
このとき、太ももの骨とすねの骨は、単純に開いていくわけではありません。
骨の面が転がりながら滑り、伸びきる手前ですねの骨がわずかに外側へねじれます。
この動きがあることで、膝はスムーズに伸びきることができます。
ところが、この滑りとねじれがうまくいかないことがあります。
そうなると、膝のお皿の下にある腱のあたりに負担が集中しやすくなります。
正座から立ち上がるときは、膝を深く曲げたところから動き出します。
そのため、動きの引っかかりが痛みとして出やすい場面です。
「立ってしまえば歩けるのに」とおっしゃる方がいます。
膝が伸びきってしまえば、この滑りの動きをあまり必要としなくなります。
痛みが出るのが動き始めの一瞬に限られるのは、そのためだと考えられます。
膝をさすったり休めたりしても、なぜまた痛むのか?

痛む場所と、痛みの原因になっている場所が、同じとは限らないからです。
開け閉めのたびに引っかかるドアを思い浮かべてみてください。
蝶番に油を差すと、しばらくは軽くなります。
ところが、床やドア枠が傾いていると、引っかかりはまた戻ってきます。
膝をさすってその場は楽になっても、次に立つときに痛みが戻るのは、これと似ています。
膝という蝶番ではなく、土台の足首が傾いていることがあるのです。
当院では、痛みだけを追いかけるのではなく、体の歪みに置き換えて原因を考えています。
たとえば、痛むのがいつも片方の膝だけという方がいます。
年齢や使いすぎだけが原因なら、両方の膝が同じように痛んでもおかしくありません。
片方だけに出るのは、体のどこかに左右差があり、その負担が片側の膝に集まっている可能性があります。
当院で多く見られるのが、足首や足先の向きのねじれです。
足首がねじれたまま立ち上がると、すねの骨が本来の方向へ回りにくくなります。
その結果、膝の滑りの動きが妨げられ、お皿の下に負担が残り続けると当院では考えています。
足首のねじれは、なぜ起こるのか?

足首のねじれは、日常の立ち方や歩き方の積み重ねで起こることがあります。
体には、もともと左右で動かしやすい方向の違いがあります。
これは生まれつきの体の使い方の癖であり、姿勢が悪いから起こるものではありません。
ただ、この癖があると、立つときや歩くときに、片方の足へ体重をかけやすくなります。
その状態が長く続くと、体重を受け続けた側の足首が、少しずつ内側や外側へねじれていくことがあります。
過去の捻挫が関わっているケースもあります。
痛みが引いたあとも、足首の向きがわずかにずれたまま残っていることがあるためです。
本人は捻挫のことを忘れていても、足首は当時かばっていた向きを覚えていることがあります。
足首のために良かれと思って、自分でぐるぐる回している方もいます。
ずれた向きのまま回しても、ねじれは元に戻りにくいと当院では考えています。
試しに、椅子に座ったまま、足元を見下ろしてみてください。
両足のつま先は、同じ方向を向いているでしょうか。
片方だけ外を向いていたら、そのつま先をまっすぐ前に揃えてから立ち上がってみてください。
それだけで、膝のお皿の下の感じ方が変わる方がいます。
膝が痛いのに、なぜ当院では足首から整えるのか?

手足の先が変わると、全身のバランスが変わると考えているからです。
体は、足首、膝、股関節、骨盤と、下から順に積み重なっています。
いちばん下の足首が傾いていれば、その上にある膝は、傾いた土台の上で動くことになります。
足首の向きが整うと、すねの骨が本来の方向へ回りやすくなります。
その結果、立ち上がるときの膝の滑りがスムーズになることが期待できます。
とはいえ、膝に触れないわけではありません。
当院では、まず痛みを訴えている膝に触れ、そのうえで検査を行って原因の場所を確かめます。
痛む場所と原因の場所が違っていても、痛む場所を置き去りにはしません。
足首を整えたあとに立ち上がってもらうと、「最初の一歩が軽い」とおっしゃる方がいます。
変化の出方には個人差があり、膝そのものに負担が積み重なっている場合は、時間がかかることもあります。
よくある経過のパターン

ケース1:いつも同じ側の膝だけが痛む方
立ち上がりの痛みが、何か月も片方の膝にだけ出ているケースです。
このようなケースでは、痛む側の足首が外向きにねじれていることがあります。
話をうかがうと、何年も前に同じ側の足首を捻挫していたとおっしゃる方もいます。
足首の向きを整えていくと、立ち上がりの一歩目が出やすくなったと感じる方がいます。
ケース2:正座から立つときだけ痛む方
椅子からの立ち上がりは平気でも、正座からだと膝の隙間が引っかかるケースです。
膝を深く曲げた状態から動き出す場面ほど、滑りの動きの乱れが出やすくなります。
このようなケースでは、足首に加えて、足先の指の向きにも偏りが見られることがあります。
足元から整えていくことで、正座から立つときの引っかかりが和らいでいく方がいます。
ケース3:膝そのものにも負担が積み重なっている方
病院で膝の変化を指摘されたうえで、立ち上がりの痛みが続いているケースです。
このようなケースでは、足首を整えても、すぐに痛みが変わるとは限りません。
膝そのものの状態は医療機関で確認していただきながら、当院では膝にかかる負担を減らす方向で体のバランスを整えていきます。
時間をかけて、痛みが気になる場面が減っていくケースがあります。
よくあるご質問

立ち上がるときに膝が痛いのは、年齢のせいですか?
年齢だけが原因とは限りません。
痛みが片方の膝にだけ出ている場合は、足首のねじれなど、左右差による負担が関わっていることがあります。
膝が痛いときは、なるべく動かさないほうがいいですか?
腫れや熱がある場合は、無理に動かさないことをおすすめします。
その場合は、まず整形外科で画像による確認を受けてください。
腫れや熱がなく、立ち上がりの一瞬だけ痛む場合は、動かさずにいると膝のまわりが硬くなることがあります。
個人差がありますので、ご自身の状態に合わせた動かし方をご相談ください。
膝のサポーターを使ってもいいですか?
痛みが強い時期に、膝を支える目的で使うのは問題ありません。
ただし、サポーターが当たる場所が痛む場合や、締め付けで足がしびれる場合は、使い方を見直す必要があります。
サポーターは膝を支える道具であり、足首のねじれそのものを整えるものではありません。
どのくらい通えば良くなりますか?
個人差がありますが、痛みが出てからの期間が長いほど、時間がかかる傾向があります。
当院では、痛みを一時的に抑えることだけでなく、痛みが出にくい状態を保てることを目指しています。
初回の検査のあとに、体の状態に合わせた見通しをお伝えしています。
まとめ

立ち上がりで膝のお皿の下が痛むとき、原因が膝そのものにあるとは限りません。
足首や足先の向きのねじれが、膝の滑りの動きを妨げていることがあります。
膝をさすっても繰り返す場合は、土台の足首から見直してみてください。
仲町台・都筑区で、立ち上がりの膝の痛みにお悩みの方は、どうぞご相談ください。
【柔道整復師 江本 直樹 監修】




